岡正子デザインオフィス

nature's voice

自然を意識するようになったのはなぜ?

私が自然を意識するようになった時期は、これまでに2回ありました。 最初は、偶然見学に訪れた長野市内の清掃工場で、大量に捨てられた衣服の山を目の当たりにした時。 大変な衝撃を受けました。 最先端のファッションに身を包み、捨てること・飽きることが格好良いとさえ言われる華やかなファッションの世界に大きな矛盾があることを痛感しました。流行を追い大量消費へと加速するファッションのあり方をもう一度見直したい・・そんな疑問を形にしたのが、1994年3月清掃工場で開催したファッションショー「環境とファッションの共生」でした。

それから、30代後半の頃ですね。ちょうどキャリアウーマンという言葉が流行り出した時代で、私自身も仕事に明け暮れる毎日でした。 余裕を無くして生きる方向性も見失い、絶望感と焦りの中で、早くに亡くした父の実家を何年ぶりかで訪れたときのこと。 ふとひとりになる時間があって近くの山の中を歩いたんです。 誰もいない山の中で、木の葉の揺れる音や水の流れる音、心地よい風に包まれて、こんなにきれいで美しくて、安らぎをもたらすものがあったんだ、と。 心から自然を愛おしいと思った瞬間でした。たぶん相当、弱って疲れきっていたんでしょうね(笑) 同時に、デザイナーとして私はいったいこれまで何を見て、何を表現してきたのだろう?・・そんなデザイナーとしての原点を省みた瞬間でもありました。 そうした、未来への想いでものづくりをしています。

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自然が与えてくれるものについて

私にとって自然は、癒され、エネルギーをもらい、硬くなっていた気持ちをほぐしてくれるもの。 すべてを洗い流し、浄化するエネルギーが自然にはあると思うんですよね。
人間ですから、様々な出来事の中で不要な雑念や欲というものが出てくることがあります。 そんな時、自然の中に身を置くことで余分なものが洗い流され、自分をリセットすることができる。 本当に自分にとって必要な、シンプルなものだけが残るという感覚ですね。

長野にこだわる理由は?

1つは、絶望感の中で迷い、硬くなっていた私を本当の意味で癒してくれた自然の中に、これからも出来るだけ身をおきたい、という思いです。 そして、人を包む一番小さな空間である衣服を通して、より多くの人に自然のエネルギーを身に纏ってもらいたい。 そこから少しずつ範囲を広げて、スタッフと共に過ごす空間であるアトリエを、やがては長野という空間=街全体を自然のエネルギーに満ちた空間にしていければと思っています。 母の代から学校業を営んでいることもあり、次の世代にどう自分が関われるか、自分が与えてもらったものを若い世代にどう返していけるか、繋いでいけるかという意識が強くあります。次世代のために、この長野を自然と街と人が共存できる「環境デザイン都市」にしていけたらと考えています。

oka masakoにとってかかせないもの、そしてデザインとは?

月並みですが、やはり大切な人たち(家族、友人、恋人、スタッフ・・)との微笑み、笑いです。 こんなデザインを、こういう経営をしたいと思う以前に、若い頃から常に私が無意識にイメージしてきたのは、自然の中で、穏やかな風と水の音、鳥の鳴き声に包まれて、皆が笑い合っている姿でした。 そんな生活が私にとって欠かせないものです。
そしてデザインとは「新たな常識をつくっていくこと」だと思っています。 身近に表現すれば、まだ形になっていない未来に向けて、自分の想いを表現する、形にする場ということでしょうか。 その想いとは、必ず自分だけでなく人や社会が将来的に必要とするものである事が大切ですね。

Natural Purelifeとは?

昔から好きな言葉が、『Pureピュア』なんです。 この言葉から私がイメージするのは、透き通った水に光があたって水面がキラキラ光っている・・そんな美しく澄んだ光景。 美しいものには、余分なものをすべて洗い流し、人を穏やかに純粋にさせる力がありますよね。 そして、自然はその美の原点だと思っています。 自然が教えてくれる、本当の穏やかで自然体の生活というものを、そして自然な美そのものを、生活に必要なあらゆるデザインを通して表現し続けたいと思っています。

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Design Office Concept & デザイナーではなくコーディネーターである理由

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日本は、森が多く水が豊富である地形から、四季折々の独自の風土を根底に持っています。 その風土の上に積み上げてきた伝統、そして未来に向けての先端技術、美の原点である自然を見直すこと・・・これらを融合させていくことが、私たちのデザインの基本です。 何百年も培ってきた技術を伝えてくれる職人さんや先端の技術を生む開発者の皆さんと一緒に仕事をしていく中で、時々、自分がコンセプトを掲げたコーディネーターであると思う時があります。 それぞれの職人・技術開発者の皆さんが協同して生み出す日本初の新しい技術をもとに、今年の流行ではなく10年先に広がり残っていくものを、共に創り上げていきたいと思っています。

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