岡 正子インタビュー 「学院長をお引き受けすること」

「予期しない突然のお話に驚きました。なぜ私なの?」


突然のお話で、本当に驚きました。私には、OKA学園という、ずっとやってきた学校もあり、ECOMACO もやっていましたので、なぜ私なんでしょうと思いましたね。 中途半端にできる仕事でもないし、時間的余裕からみたら、お受けできないというのが最初の気持ちでした。  理事長先生に、その気持ちを正直にお話ししたところ、決して今の仕事を辞めてきてくれ、ということではなく、そのまま続けてやってもらいたいというご返事でした。 悩んでいるうちに、もしかすると、地方校一校をずっとやり続けていることと、多少ながらビジネスの経験をしてきたということを踏まえて、お話頂いているということが、自分の中で段々分ってきました。


「歴史を踏まえて、新しい風をいれること。」


なぜ私なのですかとお聞きした時、「構想力」というお話を頂きました。今になって私なりに解釈してみますと、85年に歴史の中で、600を超える洋裁学校が、杉野先生に教えられ、育って、そのうちの一つの地方校が、うちだったわけですね。今も100を超える地方校が、教えを引き継いで全国に存在しているわけです。そういう気持ちが理解できて経営してきているということと、学校の中に持ち込むべき、現場教育的な企業との連動、恐らくこの二つが、私の経験の中で必要とされ、期待されていることだと思います。 いろんな人達が出入りできる、"人が集まってくる学校"というネットワークづくりをどんどんしていくことが必要で、その中の一つが、地方校と本校をつなぐネットワーク化であり、そして、企業と学院を繋いでいくということ、その両方の気持ちが、経験上理解できるのですね。そういうことが今回の構想上のポイントとしてあって、それらを生かして新しい風を入れていけたらいいということだと思っています。 もうひとつ「縁」ということでしょうか。母も私も学院の卒業生であり、また母から、学院や杉野先生の素晴らしさ、建学の精神を日々聞かされて育ってきました。このような仕事をお引き受けするとは、夢にも思っていなかった事なので、本当に「縁」というものは不思議ですね。


「人は、人によって磨かれる。」


今後の学校に関しては、出来る限りネットワークづくりを進めることと、外へ向かって発信することですね。また、学院とOKA学園そしてECOMACOの3つが繋がり、関連してより良い情報交流が生まれることに期待します。お互いにコミュニケーションをとれば、技術の向上や情報交流を始め、もっといろいろなことができると思うんです。たとえば、学院にとっても、OKA学園にとっても、ECOMACO の存在は、ひとつのエコロジーの考え方の教材となりうるものです。そういう交流をもって一緒に向上していけたら良いですね。 経営的な課題としては、3年、4年に行く学生を増やし、滞在期間を延ばすことです。これは学生にとっても重要なことで、80歳すぎまで生きる糧を培うには、2年間の専門学校では難しいと思います。ですから3年、4年まで行ってみたいと思うカリキュラムを組むことがとても大切になります。プラス2年間で、マネージメント力をつけることだとか、企業と接することだとか、現場経験を踏まえた構想を組み立てる必要があります。そのためには、現場で働いている講師の方々をどうお呼び出来るか、インターシップにどう繋げていくのかが重要です。 東京には、地方出身の学生が非常に多いのですが、地方には働く現場が少ないと言います。現職の人達もまた地方へはなかなか来ません。地方校とネットワークを作ることは大変重要なことです。その結果、技術交流や就職交流が出来て、地方に帰っても働く場所があるというような就職課の連動まで出来たらいいと思います。 また、学生は、モノづくりをしている人や職人さんに会う機会が少ないですね。「オリジナル」をもつということは、職人さんの協力なくしてはできません。そういう人達に、学生をどう会わせられるかも課題です。 「人は、人によって磨かれる」といいます。企業の人達や、地方校、そして職人さんとの交流を通して磨かれて育ち、そこから次の新しいものが生まれて来てくれるような気がします。


「伝えていきたいもの」


今回、学院長をお引き受けしたことに、「掛け持ちで本当にやっていけるの?」というご批判もいただきました。 私の中では、学院、OKA学園、ECOMACOの3つが、別物ではなく、かなり重なっているのです。教師時代に感じていた疑問、何のためにこの技術が必要なのか、その「何のために」がわからない。いったん教育現場を離れて、ECOMACOをやることで、そのあたりが見えてきます。ECOMACO をやり続けることによって、教えること、伝えることの幅が広がります。3つのバランスが、私が生みだしていくモノづくりや、教育現場そのままと感じています。 人や技、企業の人達に教えられたこと、これを次の世代に繋げていくことが、私の考える教師像です。3つが重なって、その結果として人によって磨かれ、さらに外の空気を積極的に取り入れる。こうしたことができるかどうかによって今後の学校の在り方が変わると考えています。 やがて、次世代にバトンタッチされていく時期が必ず来ます。その時のために、"今"に満足するのではなく、精一杯3つの事に挑戦し、前進したいと思います。